遅れてきたヒッピーたちと金子マリ
2012年09月30日 日曜日
今日は自転車ネタでも野球ネタでもない。しかも、ITネタでもない。
久しぶりに音楽ネタであります。
地元、国立のライブハウス「地球屋」に、カミさんと「金子マリ」を聞きに出かけました。
金子マリ
70年代から活躍するシンガーで、日本のジャニス・ジョプリンと言われた人。
なかなか、チャーミングな声のシンガーで、彼女のCDは入手できるものはすべて持っています。
たとえば、こんなやつとか↓
上のアルバムは80年代のやつだからね。まだ若いよね。
私もアマチュアとはいえ、一応シンガーで、今日の店「地球屋」にも実は何度か出演した事があるのだよ。
そんな、小さな店になかなかの大ものがやって来るというので、この台風の中を出かけたのであります。
店の入り口は、狭い階段を降りた先にある。
この階段を降りる度に思い出すことがあって...
随分と前の事だけど、ウィークディのある日に音楽仲間から電話が掛かってきた。
彼は私より10歳も上のおじさんなんだけど、「今夜、国立地球屋がセッションデーなので来い」と言っている。
セッションデーというのは、飛び入り専門の日でその場に居る誰がステージに上がっても良い日。
たまたま、仕事が早く上がったので、その夜、この階段を降りて店に入ろうとすると、店員の知らないお兄ちゃんに止められた。
「この店、初めてですか?」
「え?、いや、初めてじゃないですけど。」
どうやら、このお兄ちゃん、私がスーツ姿なので、どっかのサラリーマンが店を間違えて来たと思っているらしい。
そう思うのも無理は無い、この店のお客ときたら、ロクな風貌のやつは居ない(失礼)
結構、私より先輩の方々も沢山いるのだが、未だにサンフランシスコ・フラワームーブメントみたいな雰囲気の連中ばかり。
これぞ、中央線、アンダーグラウンドカルチャーだ..
私を誘った、おじさんに言わせると、彼らは「遅れてきたヒッピー」だという。
弱ったな、中にいれてくれないよ..と困っていたら、奥から、ママの「エルさん」が私を見つけて、「あら、いらっしゃい!」てな事で、ようやく入れてもらえた。
しかし、この一件は私には少なからずショックだった。
当然、自分はこの店のドアの向こう側の人間だと思っていたのに、少なくとも風貌だけからいくとそれを認めてもらえなかった訳だからね。
その後、私は大手の会社を辞めて今の小さな会社に移った事もあって、見た目にも自分の地を自由に出すべきではないかと思って、少々ヒゲなんぞを生やす事にしたんだよね。
さて、今日は台風だし、あんまり客は居ないだろうと思ってドアを押すと、意外に席が埋まっている。
エルさんに挨拶して、ビールをグラスに注いでもらって、さて、どこか座れそうなところは無いかなと見てみると、後ろの方にスペースを発見。横には、私より先輩と思われる少々派手なおばさん。
「あ、ここいいですか?」「どうぞ、どうぞ」
といった感じで座る。
派手なおばさんの向かいには、ミッキー・カーチスのようなじいさんが座っている。
これぞ、「遅れてきたヒッピーたち」の典型だね。
カミさんを、「こっちこっち」と呼ぶと、カミさんはテキーラかなんかを持ってやって来た。酒強いよな。
こんな小さい店に「日本のジャニス、金子マリ」がやって来るっていうのはどういう事なんだろう。
実は、エルさんが金子マリ様と友達で、その縁で時々やって来るらしい。
私は、この店に出演した事があるので、裏の構造まで知っているのだが、この店には楽屋と呼べるようなところは無い。
金子マリは、今どこに控えているのだろう?以前この店で見た時は、ステージ横の倉庫の中から登場したけど、あそこも狭くて大変だしね..
カミさんが私の前に向かうかたちで座ったのだが、それだと、ステージが見にくいよね。
ちょっと、あの派手なおばさんにちょっと詰めてもらえれば、こっち側に座れるな。
「あ、すいません、いいですか?」なんて感じで、隣のおばさんのお尻にくっつきそうなとこまで詰めて、カミさんに「こっちの方が良く見えるよ」と誘う。
しかし、何故かカミさんはひどく恐縮してこっちに来ない。
なんで、そんなに遠慮しているんだろう?と、思った瞬間だった。
私は、非常に大きな勘違いをしている事に気づいた!
それは、「ひょっとしたら..」というような曖昧な物ではなく、メーターの針が0からいきなり100に振れるように、一瞬にして「勘違いしていた」事を確信したのであった。
私のとなりに座っている、今、お尻がくっつきそうな程近くに居る派手なおばさん...
彼女が、
日本のジャニス・ジョプリン「金子マリ」
その人だ!
「どひゃ〜!」
と、声に出さずに心の中で叫びました。
う〜ん。今、私は向かいのカミさんの方を向いていてるのだが、恐くて、おばさん、じゃない、金子マリさんの方を向けない。
しかし、こうなったら得意の開き直り作戦しかない。
「はじめっから、知っての事だよ〜」てな振りで行くしかない。
て事は、横に居たミッキー・カーチスが今日の共演者、ギターの岩田浩史って事だ。
後から聞いた話だが、カミさんは堂々と金子マリの隣に座る我が旦那に
「すごい度胸だわ!」
と思っていたそうです。
途端に緊張している私の横からカミさんが一言
「台風で電車とか大丈夫でした?」
「えー、大丈夫でしたよ」
カミさん、エライ! 場を和ませる一言。
そろそろ、出番ということで、マリさんが、私の横から私の真ん前の席に移った。
ここで、勇気を持って一言お願い
「あの、写真を撮っても良いですか」
「あ〜どうぞ、良いですよ」
で、目の前の彼女を一枚。
いや〜、ステージ始まる前から、計らずもすごい展開でした。←あんたが勘違いしただけだろ!
さて、ステージの方は、岩田浩史先生のギターの伴奏で素晴らしかった。
途中、パントマイムの「北京一」師匠もボーカルに参加して楽しい。ステージでした。
最近は彼女は、アメリカのゴスペルやブルースを日本語で歌っているようで、私もシンガーとして非常に参考になりました。
ステージを降りてきた、北京一師匠が私の前に座ったので
「あの、ゴスペルソングの日本語訳の歌詞っていうのは誰が作っているのですか?」
と聞くと、どうやら、有山じゅんじ氏が訳詞を作っているものらしいというのがわかりました。
以前に、下北沢で上田正樹+有山じゅんじのDuoを見た時もそういうのをやっていたもんね。
今後、私も自分で訳詞を書いて歌ってみようかと思っております。
本日の走行距離 0km
金子マリ様
粋な歌をありがとう。
ご無礼をお許しください...
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